世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」で、とりわけ人気なのが熊野古道・中辺路。国内外問わずたくさんの観光客や参詣者が訪れています。
その熊野古道を歩くコースで、もっとも人気があるのが中辺路[発心門王子〜熊野本宮大社]のコースです。
そこで今回は中辺路[発心門王子〜熊野本宮大社]の1日観光モデルコースを、余すことなく紹介したいと存じます。
まずは発心門王子まで路線バスで行こう
まずは発心門王子まで路線バスで向かいます。バス停は上の写真の「世界遺産 熊野本宮館」の前にあります。
「世界遺産 熊野本宮館」は熊野古道や本宮地域の観光拠点の役割を持つ施設で、サッカー日本代表にちなんだ品々や、同じ聖地巡礼地であるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラに関連する資料が展示されています。
自家用車ではなく公共交通機関で訪れた方で、大きな荷物を持っている方はコインロッカーを利用してください。なお、営業時間外は閉まってしまうので注意が必要です。コインロッカーに注意事項が表記されていますので、必ず確認してください。くわしくはこちらでも確認できます。ちなみに熊野本宮のコインロッカーの場所はこちらにあります
この路線バスに乗り、発心門王子まで向かいましょう。なお、熊野古道の時刻表についてくわしくはこちらをご参照ください
発心門王子のバス停に到着です
発心門王子から熊野本宮大社まで向かうのですが、その前にちょっとだけ寄り道をしたいと存じます。
「赤木越(発心門王子〜湯の峰温泉間)」をほんの少しだけ紹介します。
【ちょっと寄り道】赤木越[発心門王子〜湯の峰温泉]
発心門王子から徒歩で湯の峰温泉まで行く「赤木越」というコースがあります。
距離は約7.1km、所要時間は3〜4時間のコースとなっていて、初心者向けとはいえません。
赤木越沿いにある熊野九十九王子のひとつの「猪鼻王子」
猪鼻王子を通り過ぎた先にある船玉神社。その先を歩くと船玉広場があり、そこには公衆トイレもありますので、用足しはそこで済ませておきましょう。ここから先は結構長いです
今回紹介するコースとは違いますので、赤木越はここまでにして発心門王子まで一旦戻ります。
熊野古道・中辺路[発心門王子〜熊野本宮大社]
ここからは熊野古道のお遍路で1番人気のコースである「中辺路[発心門王子〜熊野本宮大社]」を紹介します。
発心門王子
スタート地点の「発心門王子(ほっしんもんおうじ)」。
ほかの王子とは格式が高い「五躰王子」のひとつとされ、「発心」とは信仰の道に入る心を起こすこと、仏の道に帰依することなどの意味です。
日没時間の確認は必須。しっかり計画をして散策を楽しみましょう
発心門王子には休憩所とトイレがあります。ここから「伏拝王子(ふしおがみおうじ)」(発心門王子から徒歩約1時間)までトイレがありませんので、あらかじめここで済ませておきましょう
ずっと山道が続くと思いきや、住居や畑が並ぶ農村が見えてきました。各地に無人販売が設けられており、はちみつなどを購入することができます
水呑王子
発心門王子の次にたどり着く熊野九十九王子は「水呑王子(みずのみおうじ)」。
秋に訪れると、この辺りの紅葉がとてもきれいです。
ここから先は熊野古道らしい森に囲まれた山道に入っていきます。
写真がぶれてて恐縮ですが、地元の高校生が古道の保全活動に勤しんでいました。その様子を見て本当に頭が下がる思いでした
NHK連続テレビ小説「ほんまもん」に出てきた風景がここで見られるとのこと
これがその風景。三里富士[百前森山](みさとふじ[ひゃくぜんもりやま])の威風堂々とした美しい姿が拝めます
伏拝王子
かつては参詣道を歩いてきた参詣者が、熊野本宮大社を望むことができたため、伏し拝んだとされている「伏拝王子(ふしおがみおうじ)」。
木々の間から旧社地「大斎原(おおゆのはら)」が望めるそうです。
参詣者にとって砂漠にあるオアシスのような存在の無料休憩所「伏拝茶屋」
湯の峰温泉の温泉を使って淹れた、重曹入りの「温泉コーヒー」でほっとひと息(こちらは有料)
三軒茶屋跡
「三軒茶屋跡」は熊野古道中辺路と高野山へと通ずる熊野古道小辺路を結ぶ分岐点。
かつてはここに茶屋があり、参詣者たちで賑わっていたといわれています。
三軒茶屋跡にはユニークな「バイオトイレ」があります。用を足す際にスマホなどを落とさないよう要注意です
三軒茶屋跡を後にして進んでいくと、この看板が見えてくるので、ここに行ってみましょう
旧社地「大斎原」が望める「見晴台地」。ベンチに座ってゆっくりして景色を楽しんでみましょう
祓殿王子
「祓殿王子(はらいどおうじ)」は、かつて熊野本宮大社へ向かう際に参詣者がここで心身を清めてから訪れたといわれています。
ここまできたら熊野本宮大社までもうすぐです。
祓殿王子から徒歩数分で熊野本宮大社の裏側にある鳥居にたどり着けます
熊野本宮大社
熊野信仰の中心地である「熊野本宮大社」は、全国にある熊野神社の総本宮。
熊野速玉大社(新宮)・熊野那智大社(那智勝浦)と共に熊野三山を構成しており、熊野本宮大社で思う存分参詣していただきたいです。
熊野本宮大社も熊野那智大社と同様に、サッカー日本代表のシンボルマークである「八咫烏」が祀られています。
ちなみに神門から中に入った本殿などは、残念ながら写真撮影禁止です。
大鳥居から本殿へと続く階段
熊野本宮の大鳥居。中央は神様の通り道のため、行きは右端を、帰りは左端を通るのが作法です
住所:和歌山県田辺市本宮町本宮1110
料金:参拝無料(宝物殿は大人300円、小人100円、団体割引あり)
公式サイト:http://www.hongutaisha.jp/
熊野本宮大社を出たら、このモデルコースの最終目的地である旧社地「大斎原」へ向かいます。
旧社地「大斎原」へはこの道を通ります
大斎原へ向かう前に、子宝・安産などのご利益がある「産田社」に立ち寄ってみましょう。御朱印は熊野本宮大社の御神札授与所で入手できます
旧社地「大斎原」
かつては熊野本宮大社の社殿が創建された場所である『旧社地「大斎原」』。
巨大な鳥居が目印の大斎原では、毎年8月に八咫烏を祀る「八咫の火祭り」が行われていますが、令和4年(2022)は新型コロナウイルス感染症拡大防止などの理由により中止となったそう。くわしくは公式サイトにてご確認ください。
鳥居を間近で見ると、いかに巨大であるかを実感します
大斎原も世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成遺産のひとつです
国道へと続く大斎原の出口
その出口の近くに大日越(だいにちごえ)の入口があります
大日越は熊野本宮大社と湯峯王子(湯の峰温泉)を結ぶ参道です。徒歩で約1時間10分、所要時間は約2時間(目安)と比較的短いコースです
ここまでで熊野古道で1番人気のコースである中辺路[発心門王子〜熊野本宮大社]は終了です。
なお、熊野本宮では参詣だけでなく温泉やグルメも魅力的ですので、そちらも楽しんでみてください。
熊野本宮で宿泊して温泉とグルメを堪能しよう
熊野本宮大社の周りには、グルメを堪能できる店が点在しており、車で約15分くらいで熊野本宮温泉郷に行くことができます。
熊野本宮温泉郷には日本最古の温泉といわれている「湯の峰温泉」があり、旅の疲れを癒すのに最適な場所といえます。
別記事「【食べ歩き必至】熊野古道・熊野本宮のおすすめグルメ5選」と「【熊野本宮温泉郷】日本最古の温泉・湯の峰温泉で世界遺産の温泉を堪能しよう」でも紹介していますので、ぜひご参照くださいませ。
かつては参詣者も訪れていたといわれている熊野本宮温泉郷にも、熊野古道・中辺路の参詣の際にぜひ訪れてみてくださいね。
以上、【保存必至】熊野古道・中辺路の1日観光モデルコース[発心門王子〜熊野本宮大社]を紹介しました。
ご参考にしていただけましたら幸いです。