世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』において、とりわけ人気があるのは発心門王子〜熊野本宮大社間の中辺路を歩くコースですが、熊野本宮大社から車で10〜15分ほどの距離には、「熊野本宮温泉郷」があり、熊野古道に訪れた観光客や参詣者の疲れを癒してくれるような存在です。
そのひとつの「湯の峰温泉」は、“日本最古の温泉”として知られており、世界遺産の湯に浸かれるというユニークな温泉もあります。
そこで今回は日本最古の温泉がある熊野本宮温泉郷について紹介します。
熊野本宮温泉郷へのアクセス
熊野本宮温泉郷(湯の峰温泉・川湯温泉・渡瀬温泉)へのアクセスですが、公共交通機関を利用した場合を説明します。
直行で行く路線バスなら、JR新宮駅から熊野御坊南海バス「川丈線(本宮大社・川湯・渡瀬・湯の峰温泉方面)」に乗ります。
ただし、熊野本宮温泉郷に停車するバス(53番)は、本宮大社前行きは夕方に2本、新宮駅に戻るバスは朝に2本しかありません。
熊野御坊南海バス「川丈線」の時刻表や料金について、くわしくはこちらのサイトをご参照くださいませ。
またはJR紀伊田辺駅から龍神バス・熊野本宮線「本宮大社・発心門王子方面行」のバスがあります。
ただし、熊野本宮線だと紀伊田辺駅から湯の峰温泉まで2時間近くかかります。
龍神バス・熊野本宮線の時刻表や料金については、こちらをご参照ください。
いずれにしてもアクセスがいいとはいえないので、自家用車がある方は車で行った方がいいかと存じます。
紀伊勝浦や新宮、熊野本宮温泉郷・熊野本宮大社などを結ぶ熊野御坊南海バス
世界遺産の温泉がある熊野本宮温泉郷
湯の峰温泉
熊野本宮温泉郷のひとつである「湯の峰温泉」は、日本最古の温泉として知られており、秘湯を求めて訪れる方が後を絶ちません。
湯の峰温泉には「つぼ湯」という、世界遺産の湯に浸かれるというユニークな温泉があります。
温泉街としての規模はそれほど大きくありませんが、歴史と風情を感じられるので、ただ歩いているだけでも楽しめます。
色彩豊かな旗が風景を彩る「湯胸薬師東光寺」
湯の峰温泉にある数少ない飲食店のひとつ「湯胸茶屋」。うどんや蕎麦、ぜんざいなどの和菓子メニューを取り揃えてます
湯の峰温泉 公衆浴場・つぼ湯
湯の峰温泉を訪れたら、ぜひ利用していただきたいのが「公衆浴場」と「つぼ湯」です。
私が訪れた当時、公衆浴場はまだ改装工事中でしたので、利用したのが「つぼ湯」のみでしたが、現在では公衆浴場も隣にある「湯の峰温泉 売店・食堂」もリニューアルしている模様です。
「公衆浴場」も世界遺産の温泉「つぼ湯」も6:00〜21:00まで営業しています。とくに「つぼ湯」は貸切30分交代制のため、待つ可能性が高いです。
バスの出発時刻が間に合わなくて泣く泣く断念した方もいましたので、時間がない方は営業前の朝イチに受付に行ってみてはいかがでしょう。
ちなみに私も5:30に起床して、即向かいました。
朝イチにつぼ湯に行ってみた件
先述したとおり、5:30に起床し、支度をして「つぼ湯」に向かいました。
到着したのが5:45くらい。受付はまだ開いていませんでしたが、すでに2組のお客さんが並んでいました(いずれもカップル……泣)。
受付で料金を支払い、番号札をいただきます。私は3番ということで
前の方が終わるまで上にある待合所で待ちます。つぼ湯の入口に「2」の札がかかっていますが、自分の番が来て入室する時に番号札をそこにかけます
これが世界遺産の湯「つぼ湯」です。1人でちょうどいいくらいの小さな温泉。2人で入るとちょっと狭いです
個人的な感覚と感想ですが、温泉の温度はクソ熱いので、水を足して少しぬるくして入ることをおすすめしたいです。ちょっともったいない気がしますが……
なお、湯の峰温泉 公衆浴場・つぼ湯の営業時間や料金については、くわしくは熊野本宮観光協会の公式サイトをご参照くださいませ。
湯の峰温泉 湯筒
90℃の熱湯で持ち込んだ卵や野菜を茹でることができる「湯の峰温泉 湯筒」。
食材は近くの売店でも購入できますので、わざわざ持ってくる必要もありません。
気軽に温泉卵を作って楽しむことができます
川湯温泉
読んで字の如く、川底から湯が湧く不思議な「川湯温泉」。
12〜2月の冬季限定ですが、川の水をせき止めて造る混浴大露天風呂「仙人風呂」が名物です。
露天風呂「川湯薬師の湯」へ通ずる「薬師橋」
私が訪れた時は冬ではありませんので仙人風呂はありませんでしたが、おそらくこの辺りかな?
川から湯気が出ているのがなんとも不思議な光景です
川湯温泉にも公衆浴場があります。くわしくはこちらのサイトにてご確認ください
あと、熊野本宮温泉郷にはもうひとつ、渡瀬温泉があります。
私は行っていないのでくわしく紹介できませんが、渡瀬温泉は湯の峰温泉と川湯温泉の中間に位置し、西日本最大級の露天風呂「わたらせ温泉 大露天風呂」などがあります。ほかの2つとは異なり、リゾート感があるのが渡瀬温泉の特徴です。
お次は温泉旅行をよりリーズナブルに楽しむための、ちょっとした豆知識を紹介します。
宿泊料金を安く抑えて名湯に入る方法
「この宿に泊まって温泉に浸かりたいけど、宿泊料金が高くてちょっと手が出ないな」
って思ったことありませんか?
その宿に泊まることにこだわりがなく妥協ができて、料金を払って日替わり入浴を利用することをせずにその宿の温泉に入りたいと思っている方に、ちょっとした方法を紹介します。
答えは至って単純です。それは、その宿の同系列の宿に宿泊することです。
実例を挙げますと、湯の峰温泉に宿泊する際、本当は『旅館あづまや』に宿泊したかったんだけど、1泊の料金が少し高くて手が出ない。
私は部屋には特別こだわりがなかったので、旅館あづまやの系列施設である『民宿あづまや荘』に泊まることにしました。
民宿あづまや荘は旅館あづまやと同系列ですので、宿泊者は旅館あづまやの温泉に入ることができました。
夜に撮影した写真で見えにくいですが、民宿あづまや荘の外観。いかにも民宿といった感じです
民宿あづまや荘の部屋の一例。民宿らしくトイレも風呂もない簡素な部屋ですが、何も困ることはありませんでした
民宿あづまや荘の夕食の一例。なかなか豪勢でめっちゃおいしかったですよ。スタッフさん総出で厨房で一生懸命作っている姿に感激です
「日本秘湯を守る会」の会員でもある『旅館あづまや』。これぞ日本の伝統的な温泉旅館といった感じで憧れの宿です
旅館の中は古き良き日本の木造建築といった感じです
木と硫黄の香りが混ざり合う槙風呂
日本庭園専門の教授による設計された露天風呂
もうひとつ実例を紹介します。川湯温泉に宿泊した際も同じことをしました。
「山水館 川湯まつや」に宿泊。同系列の「山水館 川湯みどりや」の温泉に浸かることもできます。おかげさまで川沿いの絶景露天風呂に浸かることができました
川湯まつやの宿泊者も食事は川湯みどりやの方で食べます。夕食はビュッフェ形式でしたので、さまざなま料理を堪能することができました
川湯まつやの客室から見る景色もなかなかすばらしいです
「山水館 川湯まつや」と「山水館 川湯みどりや」の宿泊者は、熊野本宮大社前まで送迎していただけますので、チェックアウトした後に熊野古道を観光するのに便利です。
熊野古道・中辺路を歩いた後の温泉は最高です
発心門王子〜熊野本宮大社の熊野古道・中辺路を歩いて汗をかいたら、熊野本宮温泉郷で温泉に浸かって疲れを癒す──。
この流れ、マジで最高です。
熊野古道中辺路の観光は熊野本宮温泉郷で宿泊または新宮を観光、那智の滝を観光したら那智勝浦でマグロ三昧はぜひセットにしましょう。
以上、日本最古の温泉・湯の峰温泉をはじめとした熊野本宮温泉郷について紹介しました。
ご参考にしていただけたら幸いでございます。